実力を発揮できる場を選ぶこと、それが女性の自由への近道。 /経沢香保子の「すべての女は自由である」

2016.12.09

「女の子って、そもそも不利じゃないですか」

仕事柄か、女子大学生から就職相談を受ける事がある。彼女たちの多くが口にする、この言葉。そこで止まったらもったいないよ、といつも思う。でもその気持ちも、実は経験としてわかるのだ。


 就職活動で私が志望したのは大手広告代理店。お給料もよく、ブランド力もある。そこで人の心を動かす仕事がしたかったし、競争率の高い「すごい会社」に行くことは、偏差値の高い「すごい学校」に行く事と同じく、自分の実力を見える形にし、人生の選択肢を広げることにつながると思っていた。
 しかしOB訪問を重ね、違和感を持った。彼らが口を揃えて言うのは、女の子は倍の量頑張っても社内で評価されないということ(もちろん、今は違うと思うが)。派遣で入れば、とも言われた。

そもそも、すごい会社に入りたかったのは、社会で渡り合える実績をつくるため。なのに、評価されるのが難しい前提じゃ、意味がない。気づいた私は、戦略を切り替えた。自分のストーリーは30歳までに一人前になること。だって私は働きながら、結婚も、出産もしたい。そう、女には時間がないのだ。

 最短期間で、最高の実力をつけられる場所へ。そう考えて就職活動を見直し、出会ったのがリクルート。有名大学の男子学生は、安定した大手企業を選びがちという理由もあり、当時ベンチャー企業だったリクルートは、女性も積極的に採用していた。
 OB訪問や人事との面談で言われたのは、「リクルートには差別がない、あるのは区別。重い荷物は女性に持たせられないけど、重い責任は一緒」。つまり、徹底した実力主義。ここで働きたいと思った。


 性別を越えた仕事の評価は、結局は結果主義であるべきと私は思う。リクルートで経験した営業という職種は、その最たるもの。5年目でも1年目でも、もちろん性別も関係なく、売った金額で実力が見える。5年目の先輩と同じだけの結果を出せば、4年間ショートカットできる。そう考えた私は、求人広告の枠を、誰よりも必死で売り、MVPになったりした。
 飛び込み営業では、女であるという理由で、正直怖い目にもあった。送ってあげると無理やり車に乗せられそうになったり、部屋からなかなか出してもらえなかったり。でも、そんな時は毅然と「仕事で来ているので」という態度を貫き一切媚びなかった。逆に、顔と名前を覚えてもらいやすいことは、女性であるがゆえの明らかなメリットだと感じた。

 その後、リクルートを卒業し、楽天を経て、トレンダーズを起業した。起業したら、どうせバックがいるからと言われ、悔しいから結果で勝負と、上場も視野に入れた。最年少上場女社長になったら、枕営業したからだの、水着で株価を上げただの、面白おかしい作り話を書かれ続けてあきれる。色気で会社が上場できるなんて、どんな審査基準だ。逆にすごいからもう一回したいくらい。もし、女だからそう言われるのなら、やっぱり社会はまだやっかいだ。
 でも、悔しさは、私にとって上質な燃料。理不尽な事があっても、頑張り続けていたら、いつかオセロがひっくり返るように、向かい風が追い風になるのだ。多くの女性にとっても、きっとそうだと思う。


 すべての働く女性に伝えたいのは、実力主義を怖がらないで、ということ。当初の話に戻るが、女性はどうも実力主義の環境を怖がる傾向にある気がする。でも、私が経験して自信を持って言えるのは、女性のセンスや能力を活かす仕事がしたいなら、いったん結果を出した方が早い。

 あなたが今、実力を正当に評価されていない不満があるなら、評価されやすい環境にいけばいい。働く場所は自分で選択できるのだから。結果をみせれば人は認めてくれる。次のステージに行ける。人生を決めるのは、会社じゃない自分の意思だ。女性だから無理と、自分自身で枠にはまることをやめる。安定は自分の中にどっしりつくろう。自由への最短距離は、そこにある。



実力を発揮できる場を選ぶこと、それが女性の自由への近道。

記事提供元】DRESS 1月号

(プロフィール)

つねざわ かほこ
トレンダーズ創業者。26歳で起業し、2012年東証マザーズ上場、当時最年少女性上場社長となる。現在、Women be colorfulを掲げ「女性が輝く社会」を実現する株式会社カラーズ代表取締役社長。『自分の会社をつくるということ』他著書やテレビ朝日ワイドスクランブルコメンテーター等で発信。女性の幸せは仕事・美・パートナーシップの両立と考えプライベートでは2児の母でもある。

Edited by by.S 編集部

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